腹壁ヘルニア.JPG
写真は腹壁ヘルニアを呈している腹部。キサントーマ化(黄色化)した腹部の皮膚は脆弱なので、自傷して出血している。
セキセイインコの卵管蓄卵材症を併発した腹壁ヘルニア(便が出ない・便がでにくい、お腹が膨らんでいる)【大阪府堺市の動物病院】
この症例は数年前から腹部が膨らんでおり、他院で手術を断られたため、セカンドオピニオンを聞きに来院した。
確かに腹部が突出しており、明らかに腹壁ヘルニアの様相を呈している。
現在食欲が低下しており、便も出にくいとのこと。
単純な腹壁ヘルニアでは症状は見られず、またはみられたとしても軽度なので、慢性経過の結果進行した腹壁ヘルニア、もしくは他の疾患(特に卵黄性体腔炎)を併発していることが疑われた。
検査の結果、卵管蓄卵材症を併発していることがわかり、慢性経過から卵黄性体腔炎も併発している疑いがあった。
外科的治療と内科的治療それぞれのメリット・デメリットを話した上、飼い主と相談した結果、手術することになった。
開腹するとかなり癒着しており、体腔内および体腔内臓器が黄色に変色している。
やはり卵黄性体腔炎を引き起こしていた。
こうなると手術は少し根気がいる作業になる。
癒着した臓器を慎重に剥離していく。
最終的に蓄卵材症を併発した卵管を摘出し、腹壁ヘルニアを整復して手術完了とした。
腹壁ヘルニア術後.JPG
写真は術後の腹部。腹壁ヘルニアが整復されている。
腹壁ヘルニア摘出皮膚・蓄卵材症卵管.JPG
写真は摘出した腹壁ヘルニアを構成していた皮膚(キサントーマ化している)と蓄卵材症を併発した卵管
術後しばらく排便は確認されなかったが、次の日に確認され、食欲も徐々に回復した。
腹壁ヘルニアは症状がないので様子をみる人もいるが、基本的には外科疾患です。
無治療で経過するとその期間に応じて治療が難しくなることがあります。
確認すれば早めに動物病院に連れていってあげましょう。
キキ動物病院
大阪府堺市中区深井北町117-3
072-276-3555